大判例

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仙台高等裁判所 昭和60年(ネ)439号 判決

主文

原判決を取消す。

控訴人らの本件訴えを却下する。

訴訟費用は第一、二審とも控訴人らの負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  控訴人ら

1  原判決を取消す。

2  被控訴人の昭和五四年四月一〇日付第三回臨時総会における議案第六号「むつ小川原港港湾整備事業に伴う漁業補償金の配分基準について」を承認する旨の決議が無効であることを確認する。

3  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

控訴棄却。

第二  当事者の主張及び証拠<省略>

理由

一当事者間に争いがない事実及び証拠による事実認定並びに本件漁業補償金の配分方法に関する当裁判所の判断は、次に付加訂正するほかは、原判決理由の一、二並びに三の1及び2(原判決六枚目表六行目から一一枚目裏四行目まで)に記載されたとおりであるから、これをここに引用する。

1  原判決七枚目裏八行目の「五〇条五号」とあるを「五〇条四号」と訂正する。

2  同九枚目表二行目の「七五名」とあるを「七〇名(うち二八名については代理人による出席)」と訂正する。

3  同一〇枚目裏一〇行目の「各尋問の結果」の次に「並びに当審における控訴人小泉金吾の本人尋問の結果」を加える。

4  同一一枚目表五行目の「約四六分の一」とあるのを「四七分の一以下」と訂正する。

5  同一一枚目裏三行目の「出席正組合員」から四行目末までを「出席正組合員の三分の二以上の賛成による議決があつたものというべきである。」と改める。

二ところで職権をもつて調査するに、控訴人らの主張する本訴請求原因は、これを要約すれば、本件漁業補償金は全組合員の総有ないし合有であるのに組合員全員の賛成を得ていないことを理由に、予備的に水産業協同組合法(以下「水協法」という。)五〇条所定の特別決議に必要な出席組合員の三分の二以上の賛成がないことを理由に、昭和五四年四月一〇日開催の被控訴人総会における漁業補償金配分基準に関する議決(以下「本件議決」という。)は無効である、というのであるが、右補償金配分方法については水協法五〇条の特別決議によるべきものであることは前記のとおりであつて、所論はひつきよう被控訴人総会における議決の方法について瑕疵の存在を主張するものであるところ、水協法に基づく漁業協同組合の総会の招集手続、議決の方法などに法令、定款等に違反する瑕疵があるにすぎない場合には、同法がその一二五条において別に監督行政庁に対する決議取消請求の途を開き商法二四七条、二五二条の如き規定をおかなかつた趣旨にかんがみ、水協法一二五条の規定により監督行政庁に対してその取消を求め、これに対する当該行政庁の処分に不服があるときは行政事件訴訟法により裁判所に出訴しうるものというべきであり、その手続を経ないで直接裁判所に対し決議無効確認又は取消の訴を提起することは許されないものと解するを相当とするから、右行政庁に対する取消請求を経ないでなされた本件訴えは不適法として却下すべきである。

なお、付言するに、水協法に基づく漁業協同組合の総会の議決の内容に重大な瑕疵があつて当然に無効な場合、または議決自体が不存在であるとみられる場合においては、同法一二五条はなんらの定めをしていないから、同条所定の行政庁に対する取消の手続を経ることなく、各組合員は、直接裁判所に対し、確認の利益が存する限りその無効または不存在の確認あるいはこれを前提として現在の権利関係の確認を求めることができるが、本件訴えは右の趣旨の訴訟に当らないのみならず、前記の事実関係によれば本件決議が当然無効または不存在であるとすべき事由は認められない。

三よつて、右と異なる原判決は相当でないから、これを取消して控訴人らの本件訴えを却下することとし、民訴法三八六条、九六条、八九条、九三条に従い主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官伊藤和男 裁判官清水次郎 裁判官西村則夫)

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